軽井沢の家-脇田邸

 脇田美術館の「軽井沢の家-脇田邸(1970)」は、森の中に建てられたアトリエ山荘です。建物は低く抑えられたプロポーションと、深い軒の出や開口部によって水平ラインが強調され、変形した「く」の字型プランが庭をゆったりと囲んでいます。現在では敷地の周囲が市街化しているため、道路面の塀と門扉によってピロティーや庭のプライバシーが守られていました。この山荘でも、湿気から逃れるために木造の住居がRC造で持ち上げられ、その階下の屋外空間にはファイヤープレイスのある開放的なテラスがつくられています。

木製の階段を上がってアプローチする2階の玄関はコンパクトにまとめられ、そこから廊下が無くても公的部分と私的部分が分かれるようにレイアウトされています。
居間は変化のある壁面と勾配天井が居心地よく、明るさと重心を抑えた落ち着く空間からは、大きな開口によって視線が下がり階下の庭を身近に感じることができました。
食堂は「く」の字型プランの角に合わせて造られ、ベンチの背面にある幅広の引き込み窓になっています。建築当初はここから木々が眺められたようです。
RCと鉄板で造られたファイヤプレイスの中で、薪が『ゆっくりと静かに』燃えていて、ソファーの位置や天井と窓の高さからも推敲されたデザインが感じられます。
アトリエ部分の棟だけは矩形の計画で、居間の奥に小さな前室を挟んで配置され、庭に面した開口部は出窓の様に床から24cmの高さから広がっていました。
GalleryA4では図面と写真が展示されました。

コメント

人気の投稿