HAUS・HYAZINTH

「HAUS・HYAZINTH」は立原道造が1937年頃に構想した自身の週末住宅で、その残されたスケッチを基に「ヒアシンスハウス」が2004年に建築されています。

その設計には、イタリア語で記された平・立・断面図と引込み窓のディティールも検討され、外壁や屋根などの色は立原道造の好みからイメージして決められたそうです。
建物の南面中央にはポーチと木製階段が設けられていて、その小さく窪んだ玄関によってドアの雨掛かりと室内への視線が遮られています。
南東の隅は窓台の大きなコーナー窓が片引きで壁面に引き込まれ、ガラス窓を開けると外部と繋がって開放的になります。その外側の鎧戸は中央に十字型の穴が空けられ、スケッチの通りに上部から吊られて開閉するようです。
作り付けの机は北向きの幅広い窓に面して設けられ、机上の安定した明かりと、そこから眺める順光の景色が考慮されているようです。
室内の西側には本棚とベッドの奥に小さな出窓が設けられています。スケッチではこの出窓から別所沼が見えるように計画されていますが、実現した建物は東向きに木立と沼を望む対岸に建てられていました。
本棚には立原道造が読んでいた本を再現してあるそうで、そこに置かれていた『ローソク立』もスケッチのイメージに合わせられているようです。
室内の家具もスケッチを基に栗の木で造られていて、しっかりとした座り心地の『コシカケ・A』は、背もたれに鎧戸と同じく十字型の穴がデザインされています。
シンプルなデザインの『テーブル』は室内に合わせて細長く造られていて、座編みスツールの『コシカケ・B』と共に丁寧に製作されていることが伝わってきます。

戸締りされた外観と、別の展示で制作された模型です。

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