三溪園
国指定名勝の「三溪園」では、移築された数多くの歴史的な建築物が日本庭園の景観と調和するように配置されていました。国指定重要文化財の「臨春閣」は、江戸時代前期の紀州徳川家別邸として建てられた数寄屋風書院造りです。
建物は移築する際に三棟の屋根形状と、雁行して池に面する配置へ変更されたそうで、それによって背景の樹木と池の間に納まった姿が美しく景観の中心になっています。
国指定重要文化財の「月華殿」は、江戸時代初期に京都伏見城内で諸大名の控えの間として建てられたそうです。こけら葺の軒下に設けられた縁側が室内の三面を囲み、建具を開いた両側の出隅が外部空間と繋がっています。新緑の中に佇む姿とプロポーションが美しい建築です。
国指定重要文化財の「春草廬」は、左側の三畳台目の茶室部分が安土桃山時代の織田有楽斎による建築とされ、ここに移築された際に八畳の広間と水屋が加えられて現在の姿になったそうです。建築年不明と紹介されている「横笛庵」は、低い切妻屋根の小さな草庵茶室に、寄棟屋根の土間が組み合わされた建物です。茶室の天井は屋根の形そのままで立ち上がると頭が触れる程に低くなっていますが、そこに座ると小さな障子窓から心地よく小川のせせらぎが聞こえ、素朴で落ち着く空間になっていました。
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