東京国立博物館 庭園

 東京国立博物館の本館北側には池泉回遊式の日本庭園があり、春と秋の公開時のみ散策することができます。
そこには由緒ある5棟の茶室が池の畔に移築されていて、それぞれを貸出施設として利用しているそうですが、残念ながら室内までは公開されていませんでした。

「春草廬」は河村瑞賢によって淀川改修工事の休息所として建てられたそうですが、ここでは茅葺き屋根にネットが掛けられ、障子戸にはガラスが入れられているようです。
茶室として使い続けるためには仕方ないのかもしれませんが、もう少し建築物の「展示」として観ることができれば・・・。

「転合庵」は小堀遠州によって京都伏見に建てられた数奇屋の一部で、幾度か移築が繰り返されて現在の姿になっているそうです。
遠州好みの茶室は建物の西側部分だけで、他の部分は増築されていそうです。その屋根には瓦が葺かれて板金の樋が付いていますが、オリジナルの室内はどの程度残っているのでしょう?

「六窓庵」は金森宗和によって奈良に建てられた茶室で、水屋などは移築後の明治時代に増築されているそうです。
名前の由来となった六ヶ所の窓は塞がれていて、室内空間の採光を工夫している様子が分からず残念!
寄付も移築後の建築で、他の茶室と時代だけでなく意匠も違っていて、屋根は軒が深く緩い勾配の切妻と片流れになっています。
低く小さな中潜りの奥には腰掛けがあり、そこから露地を通って垣根の奥の茶室へ向かう動線になっていました。

「応挙館」は江戸中期の尾張に建てられた書院で、室内には円山応挙によって墨画が描かれていたそうです。
現在ではその障壁画を収蔵庫に保存していて、代わりの複製によって当時の絵画空間が再現されているそうです。

「九条館」は京都御所内にあった九条邸の居室として使われた建築で、昭和初期に移築されているそうです。
この建物だけは建具が開けられていたので、狩野派によって山水図が描かれたという床張付や襖などを僅かに覗き観ることができました。

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