「向井潤吉アトリエ館」は、昭和37年に建てられたアトリエ住居と所蔵の作品が世田谷区に寄贈されて開館した美術館です。
敷地は傾斜した閑静な住宅地にあり、石積みの擁壁で囲まれた広い庭に樹木が茂っていました。
この建築の外観からはヴァナキュラーよりもモダニズムを感じますが、館内では民家のある日本の原風景が描かれた油彩画や、その製作の記録も展示されていました。
(様々な文化や地域の「民家」においても、それぞれが合理的だからこそ受け継がれ、美しい住まいと風景がつくられたのだと思います!)
南向きの大屋根切妻部分は旧住居で、庭に面した一階の引き違い窓が幅広く設けられ、その上部には下屋が軒深く掛けられています。
それら2カ所の開口部では戸袋が中央にまとめられていて、それぞれ外壁の奥行きに差を付けることで1カ所に重ねられているようです。
旧住居の東側に建てられた土蔵は『画室兼物置』で、画家のコローにちなんで『胡老軒』と名付けられたそうです。現在は一階とロフトが展示室に利用されていました。
この部分は岩手からの移築とされていますが、解体して運ばれた建材はほとんどが再利用できなかったそうです。
敷地の西側には同じデザインで、落ち着いた雰囲気の住宅も建てられていました。
南側の道路に面して下屋と一体になった門と、塀で囲まれてプライバシーの守られた庭が造られているようです。
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