弘道館

国の特別史跡に指定されている「弘道館」は水戸藩士が学問と武芸を学ぶための藩校として創設され、敷地跡の一部が公園施設として保存されているそうです。
ここに残されている「正門」の他に、「正庁」と「至善堂」の建築物も国の重要文化財に指定されています。
「正門」の正面に設けられた「正庁」の玄関には、軒下に「こけら葺」の下屋も設けられていて、柱だけでなく側面は上部から金具で吊るように支えられています。
(浜離宮の「松の御茶屋」でも下屋が同じように吊られています。)
そして、その二重の屋根の間には欄間のような開口部が並んで設けられているため、高所からの明かりが広い玄関の奥まで届いていました。

「正庁」の建物南側には、藩主が臨席して試験や儀式を観るために「正席」と「二の間」が配置されています。
そこは武術の試験が行なわれた屋外の「対試場」の正面になっていて、部屋の外周を囲むように畳敷きの入側と軒下の縁側が設けられています。
南向きの縁側に腰掛けて、ぽかぽかと梅を眺めてきました(笑)。

玄関の正面には登館者の控えの間として「諸役会所」が配置されていて、床の間には水戸学による「尊攘」の掛け軸が掛けれられていました。
この部屋は外壁に面していないため開口部が無く薄暗い空間になっていますが、玄関からの明かりによって掛け軸が見えるように計画されていると思われます。

建物の北側にある「十間畳廊下」は藩主の休息所などにつながる唯一の通路で、この広い廊下は警護する家臣の控えの間も兼ねていたそうです。
そのため、別棟の「至善堂」に来館者が近づくには「諸役会所」の隣室にある警護の詰所と、その奥にある「十間畳廊下」を通らなければなりません。
厳重警備するための平面計画で、無駄な装飾がなく整然として凛とした空間になっています!

「至善堂」は「正庁」の北側に配置されていて、その縁側からは順光を受けた梅林が眺められ、庭と繋がる階段も設けられていました。
天井が高い縁側の雨戸上部は、壁面ではなく格子に障子紙が貼られていていため、建具を戸締りしても明かりが採れるようになっているようです。

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