耐震工事後の明日館講堂

自由学園明日館の講堂で「手塚治虫文化賞 受賞作品パネル展」が開催されていたので、耐震工事が終わった建築とあわせて見学することができました。
玄関の上部に配置されたバルコニーの道路側には旗竿が復元されていますが、この部分は竣工時の古い写真を基にして設置されているそうです。
※こちらは工事前の写真です。
復元された講堂の北ホールのエントランスの様子も以前と変わりなく、外壁に塗られているカラーモルタル引摺仕上だけが新しくなったように感じられる程でした。

客席の背面には特別室を中央に、右側は玄関へ繋がる北ホール、左側には倉庫として塞いで利用していたという便所が建築時のまま展示用に保存されています!
明日館講堂の2階から客席を見下ろすと、新しくなった床材によって室内が以前よりも明るく感じられました。
古材となったオリジナルの床材は再利用できるものを選別して、この階下の特別室にまとめられて張られているそうです。
小屋裏空間から舞台照明などを扱うための出入り口からは、「三枚おろし」の構造と木軸の合梁が鋼材のトラスによって補強されている様子を観る事ができました。
大規模な地震に耐えるために、壁面と水平構面だけでなく基礎までも耐震補強されています。

講堂の北バルコニーからは新しく銅板で葺かれた屋根と、明日館西教室棟の青緑の銅板で葺かれた屋根を見比べることができます。
復元前では屋根材がカラー鋼板に葺き替えられ、その軒先には雨樋が付けられていましたが、耐震工事に合わせて元の設計で設けられていた内樋が復元されています。
建築時の屋根では、雨水が内樋から柱型の壁内に隠された縦樋へ流されていましたが、その後では維持管理の手間が掛からないように改築されてしまっていたようです。
※こちらは工事前の写真です。
建築を活かして維持し続けることは難しいことですが、それだけにとても価値あることだと思います!

展示されていた模型にはエントランス前に設けられている大きな屋根がないので、そのままの外観がほぼシンメトリーでデザインされていることが解ります!
プレイリースタイル(草原様式)の建築が受け継がれています!

ちなみに、自由学園明日館の芝庭はビアテラス等のイベントにも利用されています。







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