ライト、レーモンド、吉村の住宅設計-後編

自由学園明日館公開講座「ライト、レーモンド、吉村の住宅設計-後編」
第1回は『レーモンドの到達した木造モダニズム住宅とは 』をテーマに、F.L.ライトの影響から脱して創造されたA.レーモンドの新しい空間を解説していただきました。
所員が名付けたという「レーモンド・スタイル」とは、尺間モデュールで経済的な材料がそのまま使われ、建物の南面が開放的に庭と接するのびのびした住まいです。
そして、洋風の住まい方に和風の空間を取り入れた民家のような「麻布の自邸(1951)」は、建物の東西を反転して建築した「旧井上房一郎邸(1952)」として残されています。

第2回では、A.レーモンドが設計した「東京女子大学住宅」を見学しました。
このキャンパスにはレーモンドによる3棟のRC造住宅が残されていて、他にも戦前の作品全7棟が歴史的建造物として国の登録有形文化財に指定されています。
1925年に建築された学長の住居では、当時の平面図と合わせて「安井記念館」として使用されている現在の室内も観ることができました。
このプレーリースタイルのようなプランからはF.L.ライトの影響が感じられ、建物がデ・ステイル風の幾何学的にデザインされていることを解説いただきました。

第4回『レーモンドから吉村順三に及んだ住宅デザイン』 では、1919年に初来日したA.レーモンドが、日本の民家や伝統建築から近代建築と共通する原理を発見したこと、そしてF.L.ライトの事務所から独立した後、学生だった所員の吉村順三に和風住宅をデザインさせ、洋風と和風の取り合わせが試されていったこと等を解説していただきました。
軽井沢式の「小寺別邸と岡別邸(1934)」
ロングアイランドの「カレラ邸(1941年)」
レーモンドの「夏の家(1933)」は、コルビュジエの「エラズリス邸計画案(1930)」を原案に設計された、軸組み工法による木造モダニズム建築です。
三沢先生は、『写真の中でベンチに腰掛けている吉村は、その床下の空間を「軽井沢の山荘(1962)」に取り入れ、アイデアが”輪廻”した』と解説されていました。

第5回のテーマは『ライトの達成したユソニアン住宅』 でした。
六角形や円弧など多様なグリットによる平面計画の特徴と、三沢先生自ら撮影した写真を観ながら、最初の「ジェイコブス邸Ⅰ(1937)」から石積の北側に土をかぶせた「ジェイコブスⅡ(1948)」や、その後のDIYでの普及を想定したブロック構造等、変化していくユソニアン住宅を解説していただきました。
晩年に設計した「ライズリー邸 (1951)」は三角形グリットのプランで、”敷地の中や近くの石切り場から集められた糸杉と花崗岩でつくられた”美しい住宅です。
やっぱりユソニアン住宅は魅力的!

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