ライト、レーモンドをとりまく世界の巨匠
自由学園明日館公開講座「ライト、レーモンドをとりまく世界の巨匠」
第1回の『ライトは空白時代を超えて有名に』では、経済恐慌などの影響で『空白時代』だったライトが、夫人の勧めで書いた「自伝」やフェローシップ開設をきっかけに復活していく過程を講義していただきました。
第2回の『ライトは世界の巨匠たちと交流を始める』では、ユソニアン住宅やフロリダサザンカレッジ、ジョンソン・ワックス社の建築についての解説と、ヴァルター・グロピウスとミース・ファン・デル・ローエとの関係を想像させるエピソードを紹介していただきました。
第3回の『ライトは世界に拡大していったF・L・ライト賛』、MoMAの「国際建築展(1932)」で殆ど無視されていたライトが、「落水荘(1936)」の建築後はMoMA新館で「ライト展(1940)」が開かれるほどに再評価され、世界を巡回した「生きている建築60年展(1951~)」ではグッゲンハイム美術館の建設予定地に「ユソニアン・ハウス」の実物まで展示されたことを講義していただきました。
第4回は A. レーモンド設計「聖アンセルモ教会 (1955) 」の見学会でした。
この建築はRCの折板構造の壁とシェル構造の屋根で造られていて、その試みが「群馬音楽センター」へ繋がっていったことも講義していただきました。
冬季は低い日差しによって聖壇が美しく照らされるそうですが、当日は曇天だったため残念ながらその光景は観られませんでした。それでも静かな薄暗い空間はとても厳かで感動的です。
第5回の『A・レーモンドの戦前から戦後の交流』では、レーモンドが第二次世界大戦前にインドで「オーロビンド・ゴーズ僧院宿舎」を建設してアメリカへ戻り、ニューホープでクエーカー教徒の農場を購入して、その改築した母屋で自宅兼事務所を開設した事と、当時の吉村順三やジョージ・ナカシマとのエピソードを紹介していただきました。
第6回の『「麻布の自邸」を訪れた有名な人びと』では、戦後に再度来日したレーモンドは建材が不足していた1951年に、足場丸太の現場小屋を原型とした自宅兼事務所を建て、後に「レーモンド・スタイル」と呼ばれるその自邸にグロピウスやカーンなどの建築家やデザイナーが訪れていたことを講義していただきました。
そして、日本の在来工法を進化させた「レーモンド・スタイル」と、「前川國男邸」と「吉村山荘」での試みの関係について三沢先生の見解を解説していただきました。
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