山口蓬春記念館

 
山口蓬春邸の旧自邸は、既存の木造2階建て家屋が吉田五十八によって増改築された住宅で、さらに「山口蓬春記念館」として改築されています。
この「画室」は当時のまま残されているそうで、ここから傾斜地の美しい庭園を見下ろすことができました。
南面の大きな窓は東面まで繋がり、建具が壁に引込まれるようになっています。皇居宮殿の正殿へ運ばれた杉戸絵「楓」は、この開口部から搬出されたそうです。
窓際に置かれている家具も吉田五十八のデザインで、テーブルと椅子の脚は極細の「竹」だけで造られているように見えますが、その中身は鋼材で補強されているそうです。
それを知らなければ、座ることに「尻込み」してしまうかも? 
※実際には座ることはできませんが・・・(笑)。

東側は壁面収納の扉になっていて、建具の高さは壁の中に引込まれる障子に合わされていますが、その部分は吉田五十八によるデザインではないそうです。

北側の大きな引分け窓からも庭園が眺められ、その下部にはソファーが設けられています。
部屋の出入り口の引戸も壁の中に引き込まれていました。

この「内玄関」は住宅として使われていた頃の玄関で、ここから出入りして建物の外部まで見学することができました。
玄関の引戸は日常用のガラス戸と戸締り用の板戸が二重に設けられ、それぞれが壁の内部に引込まれるようになっています。
そして、この障子戸では極細の組子に「面」がとられていて、それが二本並べて組み合わされていました!

「茶の間」は「画室」と同じく増築された部分で、繊細にデザインされた天井が広縁まで繋がり、照明器具は天井面とフラットにデザインされています。
この間仕切りでは鴨居がありえないほど極細になっていますが、実は『鉄の棒』が障子の召し合せ部分に隠されていて、天井から吊るすように補強されているそうです。
広縁には引違い窓が南面と東面に設けられていますが、障子戸ではなくカーテンが取り付けられてサンルームのようになっています。

「桔梗の間」に立て込まれている簾戸は、外気側に網が重ねて張られて虫除けの網戸と兼用になっていました。建具は季節に合わせて障子戸と入れ替えられているようです。
見学はできませんでしたが、2階の座敷は増築前に画室として使われていたそうで、その部屋も吉田五十八によって改築されているそうです。

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