吹抜の腰壁について

「自由が丘の家/旧園田高弘邸」では、階段を上った廊下の腰壁は高さが758mmに抑えられていますが、開口の幅が狭いため安心して2階からピアノ室を見下ろせました。

「自由学園明日館」の2階ミュージアムでは、ラウンジホールの吹抜に幅広く面したカウンターの高さは645mmでしたが、その奥行きは500mmも取られているため「安心感」があります。
そして、この腰壁が低いことで空間につながりができ、吹抜けの大きな窓から園庭まで見通せるようになっています!

「明日館講堂」の二階席では、ステージを見下ろすために腰壁の高さは660mmになっていますが、その吹抜側には庇のような間接照明が跳ね出されていて、一階への落下防止を兼ねて配慮されているように思われます。

「旧カニングハム邸」の吹抜では、リビングに面して2階の廊下が長く通され、丸太柱の間には腰壁の代わりに引き違いの襖戸が入れられています。
その廊下の建具を開け放つことで空間は繋がり、ここで開かれた音楽会ではバルコニー席として使われたそうです。


以前に見学した吹抜の広い住宅では高さ900mmの腰壁でも不安を感じたのですが、それらの建築から単純な高さだけではない「安心感」の違いを体感することができました。
そして、「吉村順三記念ギャラリー」で教えていただいた、安易に「過去の設計事例に頼らないこと」の大切さが解ったような気がしました。

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